あらすじ
雪ばかり降る町で、少女リリは「きらきら」が苦手だった。
窓の氷、街灯の輪、飾りのラメ――どれも眩しすぎて、自分だけが置いていかれる気がするから。
ある夜、古道具屋で買ったのは、ひび割れた小さなランプ。灯しても弱く、すぐ消えそうな光だった。
ところがそのランプは、息を吹きかけるたびに“違うきらきら”を生む。まばゆい宝石ではなく、誰かの手や声や温度がほどけて出てくる、やさしい光。
リリはその灯りを持って、冬の町を歩き始める。凍える郵便屋、泣き止まない赤ん坊、帰れない猫――小さな困りごとに光を分けるたび、ランプはひび割れから少しずつ明るくなっていく。
けれど最後に待っていたのは、いちばん冷たい場所。
「きらきら」を嫌っていたはずのリリが、冬の真ん中で知るのは――光は“見せるため”ではなく、“誰かを帰すため”にあるということ。