あらすじ
傷つけた人がいる。ただ若すぎたから。そう呟けば許されると思っていたあの頃の僕は、あまりにも幼く、そして残酷だった。
十五年前、僕は大切な人の夢を、保身のための嘘で踏みにじった。壊れたのは一枚のフィルムだけではない。僕たちが共有していた、眩しいほどに純粋な信頼もまた、感光して真っ白に消えてしまったのだ。
三十三歳になった今、手元には一台の壊れた『キャノン AE-1』がある。これは僕の罪の証であり、止まった時間を動かすための鍵だ。
後悔という名の棘を胸に刺したまま、僕は帰る。あの海鳴りのする街へ。もし許されるなら、もう一度、ファインダー越しに君の本当の笑顔を見たいから。