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二〇二六年、一月七日。今日は祖父母の金婚式だ。 祖父は半年も前から「人生最高の晴れ舞台にする」と意気込んでいたが、あいにく天気予報は無慈悲な雨。戦後の苦労から暗い曇り空を嫌う祖母のため、落ち込む祖父……かと思いきや。 孫である「俺」は、祖父が落とした一冊の手帳を拾う。そこには、降水確率100%の空を相手に、物理的・心理的に「晴れ」を作り出そうとする、一人の老人の壮絶で狂おしい愛の記録が記されていた。 魔法もチートもない現実世界で、五十年の愛が自然というシステムに挑む、奇跡と温もりがあふれる短編小説。