あらすじ
婚約者である伯爵令息セシルは、無表情の奥に優しさを秘めた人――そう信じていた。だが、子爵令嬢ルルが商会を継ぎ、家の帳簿を管理するようになったある日、彼の筆跡で偽造された領収書を見つける。裏切りの証を前に、恋は静かに終わりを告げた。彼が愛していたのは、彼女ではなく、第二王子アデルジークの婚約者リリアス公爵令嬢。
すべてを悟ったルルは、アデルジークと手を組み、社交界最大の舞踏会で彼らを断罪する舞台を整える――題して「婚約破棄劇」。華やかな会場で、裏切りの恋人たちが晒され、崩れ落ちていくさまは、まさに悲劇の幕引きだった。
けれど、それは終わりではなかった。すべてを見届けたアデルジークは、静かにルルへと手を差し伸べる。「今度は、僕と一緒に歩んでくれないか?」
――心を凍らせた令嬢と、彼女に光をもたらす王子の、再生と救済の物語。