あらすじ
幼いころ、この地に越してきてはじめて見た首のない鎧武者は、坊主山に巣食う死霊の実体化した姿だった・・・。
死霊に臆することなく、向き合う事が出来た時、はっきりと分かった。
多くの彷徨う魂がこの坊主山に集結し、この世の秩序を破壊しかねないほど恐ろしい事が起きつつあることを、そして、法力以外にそれを止める手段はない事を・・・。
それから十年―
坊主山の柵は、今も堅牢で朽ちることはない。今や墓所となり、手厚く供養されるようになった坊主山。陽炎は見えず、烟る様子もない。
町の様相は怖いくらいに落ち着き払い、日々何事もなく、過ぎているように見える。
だが、目に見えぬ不穏な気が、陽光の差し込みを遮り、辺り一帯に重暗く漂う気配が、いつまでたっても晴れないのである。
夥しいほどの人の思惑がある限り、この町の様相は、決して、晴れることはないのかも知れない・・・・。