あらすじ
中学二年生の水島蒼介は、どこにでもいる普通の男子だ。顔も成績も平均で、帰宅部で、特技もない。ただひとつ、同じクラスの篠宮瑞穂への片思いだけが、毎日の胸に重くある。話しかける勇気もなく、友達と騒いで気を引こうとするだけの日々。
そんな秋、蒼介は祖父の家で見つけたけん玉を始める。令和にけん玉、と笑われても、やめなかった。やっているあいだだけ、何も考えなくて済んだから。
母に勧められ、渋々足を運んだ地域のけん玉スクール。そこで蒼介を待っていたのは、田村先生をはじめとする個性豊かな仲間たちと、そして思いがけない人物との再会だった。
スクールを通じて少しずつ距離が縮まる二人。しかし一人のライバルの出現が、静かな日常に波紋を投げかける。恋と受験とけん玉に揺れながら、蒼介は自分だけの答えを探していく。転がって、落ちて、それでも拾い上げる。不器用な青春の物語。