あらすじ
覚えのない求婚を受け続けている。
相手は、氷の貴公子と呼ばれる若き侯爵フィリックス。完璧で近寄りがたいはずの彼は、なぜか私――五歳年上の地味な女教師シモンヌにだけ、異様なほど執着していた。
「ようやく見つけたよ。僕の女神」
甘く囁き、当然のように愛を告げてくる彼。けれど私は、彼と出会った記憶がない。
それでも周囲に押し切られるように結婚し、気付けば彼の腕の中にいる。
どうして彼は、ここまで私を愛するのか。 どうして私は、この人に抱きしめられると、どこか懐かしくて、少しだけ――怖いと感じるのか。
――これは、かつて世界を揺るがした“魔王”と、すべてを忘れた“女神”の、少し歪んだ恋の物語。