あらすじ
三十四歳の由良は、父の入院をきっかけに、数年ぶりに地元へ帰郷する。
戻るつもりのなかった町。もう過去になったはずの時間。
川沿いの道で偶然再会したのは、二十代の終わりに別れた恋人――月影だった。
東京での仕事を選んだ由良と、地元に残ることを選んだ月影。
互いに多くを語らないまま別れ、それぞれの人生を歩んできた二人は、再会によって、言葉にしなかった選択と再び向き合うことになる。
限られた滞在時間の中で、二人は「もしも続いていた日常」を一度だけなぞる。
けれど、過去をやり直すことはできない。
語られなかった理由、選ばなかった未来を、今さら取り戻すこともできない。
それでも、あの別れは間違いではなかったのか。
そして、これから先を選び直すことはできるのか。
これは、再び結ばれる物語ではない。
時間を越えて残ってしまった想いと、
「今を生きる自分」を選び直す、大人の再会恋愛譚。