ページ:1(2件表示) / タグ一覧へ
幼い頃、**筱月(さつき)**は霊が見える「陰陽眼」を持っていたため、 周囲から疎まれ、いじめを受ける日々を送っていた。 暗く閉ざされた性格の中で、 彼女は幽霊と友達になることで心の拠り所を見つけていたが、 その幽霊に裏切られ、命を落としかけるという過去を持つ。 それ以来、筱月は幽霊と関わらないと心に決めて生きてきた。 ——しかしある日、 彼女の前に現れたのは、 いたずら好きで前向きな「子どもの幽霊」だった。 戸惑いと警戒から始まったその出会いは、 やがて、温かさと切なさ、 そして胸を打つ感動へと変わっていく。 これは、 幽霊を拒んできた女性と、 無邪気な小さな幽霊が紡ぐ、 少し不思議で、優しい物語。
不安も喜びも借りられる世界で、本当の心だけが少しずつ静かに削れていく。 ◇◇◇ 街では、スマホアプリで感情を貸し借りすることが日常となっていた。 不安な朝には『安心』を、疲れた夜には『喜び』を。 ほんの少しの課金で、誰もが心を取り替えることができる。 僕もまた、恋人や友人、母のために感情を送りながら、逆に他者の感情に侵食されていく一人の利用者にすぎなかった。 しかし便利な日常の裏で、貸し借りされた感情は静かに濁りはじめ、やがて逆流と暴走が街を支配していく。 貸した感情も、借りた喜びも届かず、胸の奥に残るのは空虚だけ。 僕はスマホを置き、自分自身の空洞に耳を澄ませる。 ――この感情だけは、誰のものでもないと信じるために。