あらすじ
海の音と、風の音と、葉っぱの小さなこすれる音。
そんな優しい音がいつも聞こえる港町で、
にこは生まれて育った。
「笑顔」という名前なのに、
ほんとうのにこは泣き虫で、
誰かの気持ちにすぐ気づいてしまう子。
だから毎日、すこしだけ生きづらかった。
けれどある日、
にこの心がふわっと揺れた瞬間に、
ふしぎな存在があらわれる。
北欧の女神フレイヤ。
だけど姿は小さくて、ふわふわで、ねこみたいな “ふーちゃん”。
それから、にこの世界はゆっくりと、
でも確実にバグりはじめる。
幼なじみの湊は、
にこが泣きそうになると、
どうしてかすぐに気づいてしまう不器用な優しさを持つ男の子。
ふーちゃんの存在を知ってから、
三人の距離は少しずつ変わっていく。
にこは、
海の音を聞きながら、
風に髪をゆらされながら、
胸の奥のちいさな痛みと向き合っていく。
そして、いつか訪れる
光に満ちた“あの瞬間”。
太陽に手を伸ばして、
「まぶしーい…」と笑うその日まで──
これは、
冴えないと思っていたにこの世界が、
ふーちゃんの力と、湊の優しさに導かれて、
少しずつ色を取り戻していく物語。