あらすじ
ダンジョンが存在する世界。そこはモンスターと資源を生み出し、人類に富と力をもたらしてきた。
だがある日、ダンジョンは牙を剥き、世界は三か月後に滅びた。
商家の三男、ロイ・マルクスは、冒険者に憧れながらも家業を手伝うだけの日々を送っていた。成人の儀で与えられた固有スキルは《撤退》。危険な場所から戻るだけの能力――帰還石で代用できる“意味のないスキル”として笑われ、冒険者になる夢を諦めた男だった。
しかし、東のダンジョンから発生した大規模フラッドにより世界は崩壊。ロイは逃げ惑う中で命を落とす。
そして次に目を覚ました時、彼は三か月前の朝へと戻っていた。
《撤退》は、ただの帰還能力ではなかった。
死亡した瞬間、時間そのものを巻き戻す――世界にただ一つのスキルだったのだ。
フラッドを引き起こした東ダンジョン。
「あそこを攻略すれば未来は変わるはずだ」
そう信じたロイは、今度こそ冒険者としてダンジョンへ挑むことを決意する。
戦闘経験なし。才能なし。初期ステータスは平均以下。
頼れるのは商家で培った目利きと、アイテムを使い分ける判断力、そして死んでもやり直せる《撤退》だけ。
モンスターのドロップは毎回変わり、同じ展開は二度と訪れない。
装備も成果も失われる中で、死と経験だけが積み重なっていく。
何度も死に、何度も間違え、それでも少しずつ最適解へ近づいていくロイ。
だがやがて彼は知ることになる。
――強くなるだけでは、世界は救えないということを。
これは、死に戻りの力を持ちながらも無双できない男が、正しい順番を探し続ける物語。
慎重すぎる主人公と、軽口を叩く精霊の相棒が挑む、ローグライト型ダンジョン攻略ファンタジー。