あらすじ
何処に向かう訳でもなく、何に追われている訳でもなく、何かを求めて走り続けていた。ふと足を止めた場所は廃墟と化した邸宅だった。
今にも崩れ落ちそうな邸宅に住む者などいるはずもないと思いながらも扉を開くと、一瞬にして絢爛豪華な邸宅へと変わった。
感覚を失った体に意識が触れる。
肉体を置き去りに意識が彷徨う……。
どうやら僕は、死者の世界【アンダーワールド】に堕ちたらしい。
邸宅の主らしきオリエンタル系の妖艶な女が出迎えた。
彼女は、まるで僕を待っていたかのように笑みを見せ、僕に現実を告げた。
『あなた……誰に殺されたのかしら? そして……何故、殺されたのかしら?』
その言葉に驚く事はなかった。自分が今置かれている状況は、頭の何処かで理解していた事だ。
『ふふ……待ち侘びたわ。招待状を何度送れば来てくれるのかと随分と待っていたのよ。『k』を無くした……』
女は小首を傾げ、興味深そうな目を向けて笑みを見せて僕に言った。
『「night - ナイト -」様……?』
『k』を無くしたnight……その言葉に、自分が『knight』であった事を思い出す。
だが、アンダーワールドに堕ちた今、どうする事も出来ない……。
悔しさはあるが、諦め始める僕に彼女は言った。
『あなたにはナイトの条件を満たす事で、オーバーワールドに戻る事が出来るのよ』
訝しがる僕を彼女は一つの部屋に案内した。
扉に彫られている複雑な模様の中にアルファベットのような形が見える。
部屋の中へと足を踏み入れた僕は、ベッドに寝かされている自分の肉体を目にした。
この部屋は……まるで柩のようだ。
自分の肉体がそこにある事を知ると、扉にアルファベットがはっきりと浮き彫りになった。
それは……僕のイニシャル『k』だ。
僕という存在を形作るかのように、彼女は僕に『使命』を与えた。
柩の部屋は七部屋あった。それは彼女自身の目的を果たす為でもある『knight』の部屋だ。
アンダーワールドで他の『knight』を探し出し、それぞれの存在を取り戻す為の戦いが始まるーーーーー。