あらすじ
「不快な時間は、削除(スキップ)すればいい。」
舞台は2035年、AIによってあらゆる無駄が省かれ、最適化された静岡市。
不登校の高校生・ハルは、祖父の遺品である壊れたアナログ時計を握ることで、自分にとって都合の悪い時間を「スキップ」できる秘密の力を持っていた。気まずい沈黙、親の説教、他人の視線。ハルは人生の「編集者」として、それらノイズを切り取りながら、傷つかないように生きてきた。
そんな彼女が通うことになった教育支援センターで、二人の異質な存在と出会う。一人は、ハルの“時間飛ばし”を「リズムが狂っている」と見抜く、元調律師の指導員・相良八千代。
もう一人は、現代の速度に逆行するように、あまりにも動作が遅く、言葉につまる少年・冬馬。
効率化された自分の世界で、リズムを取り戻そうとする一人の少女の、少し不思議な再生の物語。