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深夜0時53分。 高校一年の山下孝は、姉と狭い団地で寝床を分け合いながら、お気に入りの深夜ラジオ《ドッとライジング!》を欠かさず聴いていた。 笑いと下ネタで始まるその番組は、ある夜、地元・奥里坂町を題材にした《心霊特集》を放送する。 ──“風の止まるトンネル”。 それを境に、録音ファイルから音が消え、放送そのものが失われる。 やがて町の風が止まり、人々の息づかいまでもが静まり始める。 そして、番組のパーソナリティ・掛水が消息を絶った。 異音の正体を確かめるため、孝たちは封鎖されたトンネルへ向かう。 そこで見たのは、風を封じるために埋められた僧と赤子の即身仏── そして、笑いを媒介に「死者の息」を呼び戻そうとする掛水の残響だった。 風は命であり、声は記憶。 失われた放送の向こうで、誰かが今も囁いている。 ──レッツ、ライジ〜ング。 ◇◇◇◇◇ *登場人物・用語は第一章の後書きをご覧ください。 *この作品はカクヨムにも投稿しています。
学生時代、片方ずつイヤホンを分け合い同じアニメを観ながら笑い合った二人。 大人になり、それぞれの違う音の中で生きている。 十年ぶりの再会、言葉は交わしても心はすれ違う。 大人になると友情は姿を変える――それでも、あの頃の想いは確かにあった。