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水族館の飼育員・雄一の娘、美月(十二歳)は、夏休みの自由研究でオワンクラゲの発光パターンを記録していた。 毎日同じ時間、同じ水槽。ノートに並ぶ数字の中に、美月はあるパターンを見つける。三日から四日おきに、クラゲの発光が数分だけ早まる夜がある。照明の異常では説明がつかない、小さなずれ。 その矢先、水族館で事件が起きた。外部業者の山田が、バックヤードで頭部を負傷した状態で発見される。状況証拠は、最後に施錠した雄一を指していた。 父が逮捕された。 学校では「犯罪者の娘」と囁かれ、家では一人で夕飯を作る日々。それでも美月はノートを閉じなかった。 照明を誰かが操作している。けれど、照明だけでは説明できない「もうひとつのずれ」がある。 クラゲは嘘をつかない。環境が変われば、光が変わる。 ——なら、光がずれているということは、水槽の中で何かが変わっているということだ。 十二歳の少女は、クラゲの光を頼りに、父の無実を証明する。
29歳のシングルマザー・ハルコと6歳の息子シュウは、小さなアパートで二人暮らし。ハルコは息子を溺愛し、シュウはそんな母を守ろうと懸命だ。 ある日、ハルコの職場の客からさかさクラゲ「クラたん」をもらう。傘を下にして、逆さまに泳ぐ不思議なクラゲ。シュウはクラたんの世話をしながら、母の日のカーネーション代を貯金箱に貯めていく。 しかし、ある日突然、タトゥーの入った男が部屋に現れる。貯金箱を壊し、クラたんを踏み潰した男―それは、シュウの父親だった。 弱くて、泳ぐのも下手で、それでも必死に生きているクラゲたち。 母と子もまた、そんなクラゲのように。