あらすじ
インドの路地裏で育った少年は、学校にも行かず、家計を支える兄の背中を見ながら生きていた。
遊びでも仕事でもない時間の中で、少年が繰り返していたのは、壁に向かってボールを打つこと。
それが「クリケット」だと知ったのは、才能を見つけられてからだった。
境界線を越える一打は、少年の生活を少しずつ変えていく。
だが才能は祝福ではなく、家族との距離、嘘、戻れない選択を連れてくる。
路地を出た先には、評価される世界があり、同時に失われていく日常があった。
これは、貧しさの中で名前のない打ち方を続けていた少年が、
やがて国家と人生を背負うクリケットへと巻き込まれていく物語である。