あらすじ
半年間、飲み会を断り、昼飯を「もやし」に変えて貯めた、血と汗の十五万円。
都内の築四十年アパートに住む万年金欠サラリーマン・佐藤は、その全財産を握りしめ、有給休暇という名の戦場へ飛び出した。
目的地は、最果ての聖地・北海道。
だが、彼を待ち受けていたのは、計算ずくの平穏な旅ではなかった。
「佐藤様。成田便との差額で『もやし三百九十袋』買えた計算になりますが?」
スマホに住まう、一円単位の無駄も許さない超論理的・毒舌ガイドAI【冷子】。
「サトウ、この鉄の馬(ヴィッツ)はヒンナな獲物が捕れるのか?」
知床の展望台でヒッチハイク(?)してきた、某人気漫画から抜け出したようなアイヌの少女(自称・アシㇼパ)。
知床の絶景に震え、十勝の酪農に胃袋を掴まれ、函館の夜景に土方歳三の幻影を見る――。
予算が尽きるのが先か、心が焼き尽くされるのが先か。
これは、一円単位の絶叫を上げながら、それでも祈るように「聖地」を巡る、一人のもやし生活者の魂の記録である。
※この物語は、北海道から始まる日本全国・強行軍ログの第一弾です。