あらすじ
几帳面を極め、世界の“乱れ”を許さない男・三島律は、日常の些細な出来事に隠された“意図”を読み取ろうとする独自の理論を持っていた。ある日、電柱の不動産チラシのフォントがわずかにズレていることに気付いた律は、その違和感に取り憑かれ、街中の広告や看板のフォントを収集・分析し始める。やがてズレが示す方位に規則性を見出した彼は、導かれるように○○大学付属科学技術研究所へ辿り着く。暗号の“震源”と確信して研究室に踏み込むと、そこには律の日常を隠し撮りした写真と「陰謀論的思考の研究」資料が並んでいた。実は律は、研究対象として無断で観察されていたのだ。教授が謝罪する中、律は満足げに「あなたたちが秩序のネットワークの中枢だったのですね」と告げる。世界の乱れに意味を求め続けた男の、奇妙で滑稽な真相だった。