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雨が降り続く午後。 部屋でひとり過ごしていた綾は、隣室から聞こえてくるピアノの音に導かれるように、しぐれのもとへ向かう。 雨音とショパンの旋律、漂う香りと沈黙。 近づく距離に比例して、言葉にできない感情が静かに高まっていく。 触れそうで触れない指先。 与えられそうで与えられない一瞬。 主導権を握るしぐれの視線と、逃げ場を失っていく綾の心。 やがて交わされる、たった一言の「好き」。 それだけで十分だと知ってしまった午後。 雨の残響の中、二人の鼓動だけが重なっていく。 確かめ合うように、溶けるように、静かに。
一ノ瀬歩は引っ込み思案で自分に自信がない。 とある日の音楽の授業中、ショパンの曲と出会う。 ある日、月にお願いをすると、月夜にだけ現れるピアノに遭遇する。ピアノの知識はないものの、聞いたことのある曲はなんでも弾くことが出来る魔法のピアノだった。 全5話完結。 6000文字程度の短編になります。