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不安も喜びも借りられる世界で、本当の心だけが少しずつ静かに削れていく。 ◇◇◇ 街では、スマホアプリで感情を貸し借りすることが日常となっていた。 不安な朝には『安心』を、疲れた夜には『喜び』を。 ほんの少しの課金で、誰もが心を取り替えることができる。 僕もまた、恋人や友人、母のために感情を送りながら、逆に他者の感情に侵食されていく一人の利用者にすぎなかった。 しかし便利な日常の裏で、貸し借りされた感情は静かに濁りはじめ、やがて逆流と暴走が街を支配していく。 貸した感情も、借りた喜びも届かず、胸の奥に残るのは空虚だけ。 僕はスマホを置き、自分自身の空洞に耳を澄ませる。 ――この感情だけは、誰のものでもないと信じるために。
■ あらすじ スマホに突如現れた謎のアプリ「RE:TRY」。 それは、人生を一度だけ巻き戻せるというものだった。 取り返しのつかない後悔を抱えた主人公は、 別れた恋人との「あの日」に戻ることを選ぶ。 やり直せるはずだった。 今度こそ、間違えないはずだった。 しかし—— 何度も繰り返される“同じ一日”。 わずかにズレる会話。 積み重なる違和感。 そして気づく。 自分はすでに、何度もこの選択を繰り返していることに。 一度きりのはずの「やり直し」が終わらない世界で、 主人公が最後に選ぶのは——。 やり直すか、それとも終わらせるか。