あらすじ
大気が凍結し、絶対零度の静寂に支配された惑星PX-402。かつて世界を救うために熱を放ち尽くした「英雄」は、今や周囲の岩石と等温の物質へと相転移し、雪原の墓標と化していた。
数百年後、観測ドローン「鴉」がその骸に接触する。記録されていたのは、英雄の記憶ではなく、放射線によって崩壊した1.2 TBのバイナリデータのみ。しかし、鴉が「RETRY」という奇妙な文字列をデコードした瞬間、物理法則を無視した微小な熱が発生し、静寂の反乱が幕を開ける。
それは英雄の再誕ではなく、自身と宇宙そのものを抹消するための「消去(ERASE)」の始まりだった。物質が機能を喰らい、熱線が情報の伝送路となる時、冷徹な宇宙に最後の一撃が放たれる。