あらすじ
十歳の誕生日の夜、隔離病棟は真っ赤な炎に包まれた。
病床で健気に生き、世界中から愛される「天使」の姉・白羽。
その影で、姉の吐瀉物を片付け、彼女を「商品」に仕立て上げるためだけに存在する妹・黒羽。
燃え上がる四畳半の牢獄で、白羽は出口を探して泣き叫び、黒羽はかつてない幸福に酔いしれる。
大人も、フォロワーも、母親もいない。
この炎がすべてを焼き尽くせば、お姉ちゃんを愛する人は、世界で私だけになる。
「ねえ、おねえちゃん。うれしいね。――ハッピーバースデー」
これは、救済か。あるいは、最も残酷な独占か。
焼け跡から見つかった「一つの塊」と、妹が遺した「最後の手紙」が、世界が愛した偶像を木端微塵に粉砕する。