あらすじ
車椅子の足置きから地面まで、七センチ。テーブルとの高さの差も、好きな人との身長差も、七センチ——僕の世界は、いつもその隙間で隔てられている。
十六歳の文月彩人は交通事故で下半身麻痺となり、車椅子で生きることになった。リハビリ病院で出会った柿椿凛は、同い年で、笑うと周りの空気ごと明るくなるような少年で、BL小説の趣味まで同じだった。凛と過ごすうちに、閉じ込めていた同性への想いの蓋は日ごとに軋み、もう閉じていられなくなっていく。
だが凛は、彩人だけには絶対に知られてはならない過去を抱えていた。
その真実が明かされたとき——残るのは憎しみか、それでも手放せない感情か。
すべてを記録していたのは、AI搭載車椅子のニア。その観察ログが、痛みと隙間だらけの、ふたりの百日間を静かに綴っていく――。