あらすじ
気がついたら、わたしは日本武道館の舞台袖に立っていた。
ライトの熱気に鳴り止まない歓声。
アイドルグループ『Baby☆U』が目指していた場所。
でも、少しおかしい。
ステージでは親友の天音ちゃんが泣きながら、わたしの名前を呼んでいる。
客席には白いペンライトの海。
そして無数のタオルに書かれた文字。
『R.I.P. KANAN』
どうして?
わたしはここにいるのに。
愛するみやびくんもどこにもいないし、このままじゃ幽霊のまま彷徨うことになっちゃうんだけど?
そんなわたしを救ってくれたのは、お父さん。
わたしは、自分が幽霊になった理由をお父さんと探る。
でも、なんか変。
現場にいた人たちは、みんな違うことを言う。
「押された」
「飛び出した」
「助けようとした」
……ねえ、どうしてそんな嘘をつくの?
人はみんな、自分に都合のいい物語を語るって、お父さんは言った。
だからわたしは、自分の記憶を信じることにした。
これは、わたしがいなくなった夜の話。
そして、誰も本当のことを言わない物語。