あらすじ
一月三日。世間が箱根駅伝に沸く中、俺の大好きなじいちゃんが死んだ。
大正、昭和を駆け抜け、戦場から生還した男が遺したのは、広大な田んぼと、古びた「鍛冶小屋」の記憶。
葬儀に集まった親族たちが語り出したのは、俺の知らないじいちゃんの伝説だった。
「馬一頭で沼を埋めた」「この家は全部、じいちゃんが独力で建てた」
驚愕する俺を余所に、親戚の男たちは鋭い目つきで家をチェックし始める。
初七日からの一週間。そこから始まったのは、一族の技術を結集させた「弔い合戦」だった。
平屋の家に二階を増設し、壊れた精密機械を完治させ、巨大なアンテナタワーを建てていく男たち。
「壊れたら直す。無いなら作る」
その血を受け継ぐ一族の姿と、じいちゃんが遺した「掌の温もり」を綴った、実話を元にした物語。
※連載中『小説の主人公になれない理由は、異世界転生でもなく、原付で走る14kmの田んぼ道にある。』の主人公・楓のルーツを描く短編です。