あらすじ
真贋を見抜く特異な能力を持つ青年・峰 真(みね・しん)は、偽物に強い嫌悪感を抱きながらも、その力を利用して鑑定の仕事をして暮らしていた。ある日、実業家の大河内 恒一(おおこうち・こういち)から「マナ遺跡」で発掘された古代遺物の鑑定を依頼されるが、真はそれらがすべて精巧な模造品であると見抜く。
大河内は真に遺跡への同行を懇願し、さらに秘書の雲居 由(くもい・ゆう)を紹介することで真を誘い出す。由は非現実的なほど美しく、真は彼女に強く惹かれ、警戒心を抱きながらもマナ遺跡へ向かうことを決意する。
しかし旅の果てに辿り着いた遺跡は、真が想像していたものとは違っていた。洞窟の奥で突然明かりが灯り、真は由によって拘束される。そこに現れた大河内は、真に衝撃の事実を告げる。
――峰 真は組織によって造られた「仿製品(模造品)」だった。
真が持つ危険を察知する“感覚”を組織は欲しており、その能力を由に移植するため、真は回収されたのだという。さらに由自身もまた、組織が生み出した最も成功した模造品であり、彼女の優しさも愛情も、すべて設計されたものだった。
逃げ場を失い、名前も過去も奪われた真は、組織の支配下で生きるしかなくなる。
そして三年後――真は由との間に子どもをもうける。組織は「模造品同士の次世代」が何を生むのかを観察していた。赤ん坊の泣き声を聞きながら、真は自分が人間なのか、それともただの作り物なのか、その境界すら見失っていく。
偽物を見抜く少年が、最後に直面する最大の真実――それは「自分自身の存在」だった。