あらすじ
潮汐固定惑星の「黄昏帯」に生きる人々の物語。
人々の感情や祈りを「樹」と「石」が吸収し、エネルギーを供給する――極めて特殊なインフラだ。
主人公は、その根幹を支える港湾都市のメンテナンス技師。彼は日々の業務の中で、システムが「目に見えない誰かの犠牲」によって過剰に稼働し、いつか世界を破綻させるという歪みに気づく。
やがて、石の精霊を解放した記録官と出会い、この仕組みに一層深い疑問を抱く。
封印されていた樹の精霊を解放した主人公は、搾取に頼らず世界を回す方法を探すため、一歩を踏み出していく。
感情の熱を削ってまで高原を支える港、祈りの列が冷たさを受け取る石の港、数字で線を引く紙の港、樹も石もない代わりに時計の刻だけで世界を揃える国…
旅の一行はそれぞれの場所で、人々が「ここまで」と決めた境界と、その影に隠した願いを見つめていく。
最後に技師が選ぶ答えとは――。
彼は何を語り、何を伏せたままにするのか――。