あらすじ
夜明け前の冷たい空気の中、オレクサンドルは三両の射界を扇形に配し、対ドローン防空の“見えない柵”を張る。敵はシャヘド(ゲラン)や小型機、時に巡航ミサイル。ゲパルトは35mm機関砲の曳光弾とAHEAD空中炸裂弾で、低空・低速・大量・安価という敵の特性に弾で答える。合言葉は-安い敵は安い方法-で。
攻撃が波状に来襲。各車はレーダーと光学を切替え、火線を交差させて**密度中心に“鉛の壁”**を置き、送電線や変電所を覆う目に見えない防壁を築く。給弾不良やノイズには冗談で緊張を和らげ、短い指示で修正。巡航も弾で落とし、第一波を都市の外で食い止める。
小休止に、オレクサンドルは胸ポケットの紙片〈ヴィタリー〉を指でなぞる。幼い頃のベレジャニの記憶――城の池、桑の実、靴紐の結び方、几帳面な工具箱。失った弟分への哀惜は、指揮の声を揺らさずに「線を引き続ける」決意に変わる。彼はイタリアの母とベレジャニの祖母へ短い生存のメッセージを送り、今も橋を空に落としているのだと心中で語りかける。
夜を越え、技師が「落としてくれていなければ変圧器は焼けていた」と礼を告げる。ココアで指を温め、整備を終えると、また夜が来る。オレクサンドル――「人々を守る者」は、一号車の車長として、小隊指揮官として、都市の縁に細い光の線を引く。