あらすじ
「本日をもって――婚約を破棄する」大広間で公爵に切り捨てられた瞬間、私は泣かずに言い返す。「私が暴きます」。罪状は孤児院の寄進金横領と公爵家命令書の偽造。夜明けに監査局が裁けば、私は一生善意を食った女として笑いもの、孤児院まで潰される。公爵の破棄宣言すら、偽聖女に勝ったと思わせて証拠を動かさせる罠――そう分かっても胸は痛い。だが封筒に残る魔印は、起動すれば押した者の魔力癖と香りまで暴く。だから今は温存し、敵の自滅を待つ。案の定、証拠を奪いに来た聖女候補は、光っていない魔印の色を口にして失言。監査官補が蜂蜜の香りを手掛かりに照合を進める中、公爵は冷徹な顔で「触れるな」と私を守り、最後は扉封鎖で逃げ道を絶つ。公開裁定で嘘が剥がれ、偽聖女は資格停止と資産凍結。拍手の中で公爵は謝罪し、私の指に新しい指輪を嵌めて婚約を結び直す。冷徹な独占欲は、私を甘く囲い込む。――ざまぁも甘さも、夜明けに確定する。