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真夏の夜の河原。中学生の如月弥生は、継母と折り合いが悪く今夜もここで時間をつぶしていた。継母は決して悪い人ではないのだが。 しばらくすると天の川から、お椀に箸の櫂のような操舵がついた飛行船が現れ、弥生の元に小さな男の子が降り立った。名前はホーシといった。身体は小さいが歳は弥生と同じ13歳くらい。 そして、2人の物語が始まる。
「私たちは大丈夫だから、鬼と戦うなんて言わんでおくれ……」 真剣な顔のおじいさんに、心配そうに眉を寄せるおばあさん。 二人を交互に見やり、姿勢を正す。 「誰かが立ち上がらないと、次の冬は越せない。それなら、俺は、その誰かになりたい」 鬼が島を前に、体は緊張で強張り、足は震えていた。 ------ 目の前に、巨大な足が迫る。 つぶてが舞い、全身に襲いかかってきた。 成人の儀が執り行われた、この日。 俺はただ、駆ける。 雑草を掻き分け、逃げ出していた。 「ははははははは!」 声を張り上げる。 鬼がいた。 姫が捕らえられ、今にも食われそうだった。 鬼の強大な足に、かつての後悔がよぎる。 それを上回る高揚に、勢いよく針を抜いた。