あらすじ
公爵令嬢エリシアは、王太子アルベルトの婚約者でありながら、華やかな妹リリアの引き立て役として扱われてきた。
社交の場では妹が愛され、王宮では「地味で面白みのない婚約者」と軽んじられる日々。だが実際には、浪費と不正で崩れかけていた王家の財政を、陰で立て直していたのは彼女だった。
ある夜会で、王太子は皆の前で妹を伴侶に選ぶと告げる。
泣いて縋ると思われていたエリシアは、ただ静かに一礼した。
「承知いたしました。では私は、私の仕事を持って退きます」
彼女が去ったあと、残されるのは誰も読めない帳簿、辻褄の合わない支出、隠しきれない赤字、そして積み上がった不正の証拠。
これは、尽くしてきた令嬢がもう尽くすのをやめ、失って初めて価値を思い知る者たちを静かに見下ろす物語。