あらすじ
聖女と呼ばれぬあの方は、私にとっての母親だった。
醜く、人でなく、人間の住まうこの国から拒まれたとしても──それでも私を愛してくれた、唯一無二の存在。
世界は彼女を否定し、代わりに魔族の国を壊滅させた女を〝聖女〟と呼び、崇め、女王として迎え入れた。
その事実を、私はどうしても受け入れられなかった。
長年の遺恨から踏み躙られた魔族の国は、本当に滅ぼされるべき存在だったのか。
愛する方を貶められた私は、
自ら一つの選択へと踏み出していく。
それは、私を救うための行為であり、
同時に決して許されない過ちでもあった。
これは大きく躍動する世界の端くれにいる、傲慢な女の自意識を覗いてしまっただけの話。