あらすじ
*2026.2.28完結いたしました*
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ウーファイア王国の季節が、冬に近づいていたころ。
リシュールは靴磨きの仕事を終えたあと、本格的な冬に備えてマントを買いに古着屋へ向かっていた。
孤児院で育った彼は貧乏である。何とかお願いして住まわせてもらっている場所は、下宿屋の屋根裏部屋。だが、そこは人が生活するように作られていないため、冬は隙間風が入って寒い。
そのためリシュールは、防寒対策として古着で安くなったマントを買い、日中は外で羽織るために、夜は掛布団として使おうと考えていたのだ。
リシュールが古着屋で手に入れたマントは、中古の品にもかかわらず穴も開いておらず、質も良いものだった。喜々として帰ったその日の夜、彼は早速掛布団として使ったのである。
だが、翌朝になると異変が起きた。何故か目の前に、亜麻色のさらさら髪に、灰色の瞳をした見慣れない青年がいるのだ。そして彼はこう言うのである。
「私はマントに取り憑いた魔法使いです」と。
だが、魔法使いはこの世にいない存在のはずだった。何故ここにいるのかと尋ねると、彼は200歳生きた魔法使いなのだと言う。
何が何だか分からないリシュールだったが、彼に言われるがままに「クモイ」と名をつけ、共に生活するようになる。
だがクモイは、己が「魔法使い」であることだけは言うが、自分の過去は語らない。
またクモイは、リシュールに良い生活をするように提案するようになる。実はそれには理由があるようなのだが、それは果たしてどういうものなのか――。
貧乏だが心優しいリシュールと、心が傷ついている魔法使いクモイの再生の物語。