あらすじ
数千年前、人々の前に「それ」は唐突に現れた。
パージ鉱石と名付けられたそれには、万物を浄化する力が存在した。
それは人々の生活に多大な恩恵を与えたと同時に、人々へ永遠に続く厄災も振りまいた。
鉱石に関わった者は、身体の生気を抜き取られ…死に至る。
のちに「白死」と呼ばれるこの病は、今もなお、人々を苦しめていた。
鉱石一つで世界が崩壊して数千年後。
生き残りの子孫たちは白死から身を守るために影響を受けない地下「白箱」に移住区域を作り、そこで生活していた。
そこに存在する第三白箱研究所にて、パージ鉱石を破壊する研究を行う「十六夜一月」
かつて自分を育ててくれた恩人の夢を自分なりに引き継ぎ、日々研究に勤しんでいた彼女はある日、五年前に行方不明になった同郷育ちの「三坂紳也」から大きな贈り物をされる。
人一人入りそうな棺桶に入っていたのは———「一人の青年」
物とリンクした命を持ち、パージ鉱石と死体から作られた「人造生霊」と呼ばれる存在である彼は、かつての一月にとても縁のある人物だった。
十体の人造精霊———それが一つ「十番目の傘」を名乗る「黒傘雨葉」。
紳也から「ある条件」をつけられた上で、彼はかつて面倒を見た一月の元へ舞い戻った。
揺らぎない意思と願いを、そして媒体とした道具に呼応した能力と共に。
世界を知らない「物」である青年と、世界を救うために働く「者」である少女。
これは十六夜一月が世界を救う”まで”のお話。
世界を救った少女と、彼女の相棒を務めた青年が生きた———歴史に残らなかった過去の物語。