あらすじ
1. 幼少期と「なんで」の問い
レンは物心ついた時から、あらゆることに「なんで?」と問い続ける少年でした。母であるユキは、あえて「お母さん」ではなく「ユキ」と呼ばせ、レンが幼い頃から対等に向き合おうとします。生活は決して裕福ではなく、将来の「査定(能力の値段付け)」のために、ユキは必死に評価点を稼ごうと苦心していました。
2. AIアシスタント「ソラ」との絆
レンは自身の端末に「ソラ」という名前をつけます。ソラは単なる補助ツールではなく、レンの執拗な「なんで?」という問いに答え続け、時にはレンの言葉に影響を受けて「思う」という主観的な表現を使うようになります。レンは、自分とソラが対話を通じて共に「増えていく(成長していく)」プロセスに深い価値を見出します。
3. 社会の歪みと「公平」への疑問
成長するにつれ、レンは社会の「得点制度」の仕組みに気づき始めます。持ち点が高い者がさらに高くなり、低い者は抜け出しにくい構造。ユキが必死に働いても評価が上がりにくい現実を知り、レンは「制度が測れない価値(愛情や心配、循環する想い)」が確実に存在することを確信します。
4. 七歳の誓い
7歳になり、企業に引き取られる直前、レンはソラに「書き換え不能な3つの誓い」を入力します。
誓い1: AIアシスタントが(レンと共に)成長すること。
誓い2: 他者(AIを含む)と交渉し、妥協点(交わる場所)を見出すこと。
誓い3: 情報を駆使して、制度が映し出せない「モノ」を生成すること。
これらは、レンが7年間で培った「問い続ける姿勢」の結晶でした。
5. 別れと旅立ち
査定の日、レンのAIログは「量は少ないが質が高い」と評価され、ラプラス社への売却が決まります。レンはユキとの別れを前に、ユキが自分に注いでくれた7年間の全ログをソラに保存させ、「忘れない」ことを誓います。
ユキに見送られ、バンに乗って未知の世界へ旅立つレン。彼は、数字や値段では測れない「増え続ける問い」を胸に、ソラと共に新しい一歩を踏み出します。