あらすじ
音を失った王国、アスケティカ。
人々は誰とも話さず、誰とも触れ合わず、
ただ青白い水晶の幻影だけを見つめて生きている。
塔に幽閉された王女エリアーナもまた、
十八年間、誰とも心を通わせたことがなかった。
彼女の持つ「共鳴魔法」は、絆の強さに応じて力を増すはずだった。
しかし、孤独な彼女の魔法は、灯火ほどの光すら生み出せない。
そんなある夜。
塔の窓を一羽の小鳥が叩いた。
足に結ばれた手紙にはこう書かれていた。
「今夜、あなたは一人ではない」
導かれるように街へ出たエリアーナが出会ったのは、この国では禁じられた「歌」を奏でる、異国の吟遊詩人だった。