あらすじ
黒潮洗う南海の小島、水床島で、小学生のヤスノリは農業を営(いとな)む両親と島の駐在(ちゅうざい)の息子で、同じ年のいとこのハヤテ家族らと共に暮(く)らしていた。
六年生になった時、島に河上先生が赴任(ふにん)してくる。新しく担任となった河上先生とヤスノリたちはすぐ打ち解(と)け、充実(じゅうじつ)した学校生活を送るようになる。
やがて一年が過ぎ、卒業式の帰り。ヤスノリは卒業(そつぎょう)記念(きねん)に島の南端(なんたん)のライオン岬まで自転車で遠乗りしようとハヤテを誘った。ライオン岬の先端(せんたん)の、今ではもう神主のいなくなった無人の、訪れる人もいない天(てん)狐(こ)森(もり)神社には、昔、本土から来た行者(ぎょうじゃ)が修行(しゅぎょう)したという岩屋があり、同じ小学校ではまだ誰も入ったことの無いそこを探検してみることにした。遠乗りにはハヤテの二人の弟ヒロシとマサルも加わり、地図や磁石、ローソクなどを持ち寄って、四人の少年たちは洞窟(どうくつ)探検に出かける。
洞窟の果ては、浸食(しんしょく)で太平洋に向かって穴の開いた小さな浜で、少年たちは行者の石像の後ろに置かれていた小さなオルゴールから、昔、少年だったヤスノリの父が少女だった母に告白の決意を綴(つづ)った置(お)き手紙を見つける。その手紙には、冒険心を持ってここまできた者には、この手紙を読まれても構(かま)わないと書かれていた。
浜のから外の海へ出てみると、今まで知らなかった珊瑚(さんご)の群生(ぐんせい)を発見する。
探検が終わり、帰宅するとヤスノリの両親はロウソク立てやリュックが無くなっていたことから、少年たちが洞窟探検に出かけたことに気付いていた。ヤスノリの父は、少年たちが岩屋に辿(たど)り着き、昔、自分が書いた置き手紙を読んだことを悟り、遠乗りの成功とこの春からの中学進学を、それまで開けずに大切に保存していたワインを開けて祝福(しゅくふく)するの
だった。 (了)