あらすじ
魔王を討ち果たし、世界を救った勇者。
国中から救世主として称えられ、歴史に名を刻むはずだった彼を待っていたのは、栄光ではなく管理だった。
人類最大の敵を単身で打ち破った存在は、同時に国家にとって最大級の脅威でもある。
王は勇者に最高の名誉と地位を与える。だが実権は与えない。国政からは遠ざけ、監視の下に置き、その力と威光だけを利用する。
それは厚遇でありながら、実質的には飼い殺しだった。
反発はできる。
だが勇者は知っている。自分が牙を剥けば、ようやく取り戻した平和は再び砕け散ると。
だからこそ彼は受け入れる。
名誉という鎖を、感謝という首輪を、そして緩やかに死んでいくような余生を。
これは、魔王討伐のその後を描く物語。
世界を救った英雄が、平和な時代の中で居場所を失っていく、静かで残酷な英雄譚。