あらすじ
残業帰りに死んだ。それだけだ。
田中誠一、三十四歳。大した功績も、大した後悔も——いや、後悔なら山ほどあった。告白できなかった夜。捨てた夢。父に言えなかった言葉。ただ、それを誰にも言えないまま、横断歩道の青信号を渡り終えることができなかった。
目が覚めると、俺は燃えていた。
青白い炎として、霧に閉ざされた異世界の森の中に存在していた。声はある。思考もある。だが体はなく、肉体の代わりに「世界の声」が聞こえる。木の声。石の声。風の声。五百年前に消えたはずの——精霊の声。
精霊が消えて五百年。世界は精霊なき時代を「普通」と呼んでいた。その世界に、俺は原初の精霊として転生した。
エルフの少女フィリア。傷を抱えた獣人の傭兵ガルド。迫害された魔族の天才ゼノス。行き場をなくした者たちと出会い、俺は「全種族に開かれた国」を作ることを決める。
しかし世界には古い闇が潜んでいた。五百年前に精霊を封じた秘密結社「沈黙の盟約」。腐敗した世界精霊評議会。そして、愛を歪めた一人の男の、五百年間の復讐。
原初の予言は告げる。
「汝は世界のために死ねるか」と。
これは、逃げ続けた魂が炎になり、仲間と出会い、国を建て、学院を作り、三つの遺物を巡り、死を超えて、愛で世界を書き換えるまでの