あらすじ
家族旅行中の凄惨な事故。目を覚ました時、雨宮瑞希と、彼女を救った古西ユリア、ルシアの三人は、魔法と火器が交差する異世界「ソリス帝国」へと転移していた。
保護された辺境伯領で彼女たちを待ち受けていたのは、安息ではなく、かつてない絶望的な災厄だった。突如現れた数万規模の「動く死者」の大群。最初はただ本能で生者を襲う獣に過ぎなかった彼らは、やがて恐るべき変化を見せ始める。陽動、挟撃、さらには魔法による制圧射撃――未知の指揮官に統率された死者たちは、明確な"軍事戦術"をもって帝国を蹂躙し始めたのだ。
「私より後ろに、敵を通すつもりはないわ」
孤立無援、全軍崩壊の危機に瀕した絶望の撤退戦。ユリアは自ら殿(しんがり)を引き受け、身の丈ほどの大剣で死者の波を単騎で粉砕していく。進化する敵の脅威に対しても、情や恐怖に流されない「冷徹な合理性」で戦列を再構築し、常識外れの「武勇」で敵を薙ぎ払う。その圧倒的な実力と指揮能力をまざまざと見せつけられた歴戦の将兵たちは、15歳の少女に平伏し「銀の女神」と呼んで心酔していく。
彼女の戦術眼と絶対的なカリスマを評価した辺境伯は、部外者(客将)であるユリアを、一軍を率いる「大隊長」へと異例の抜擢を下す。
反骨の近接兵長、エルフの変人技術者など、有能だが癖のある部下たちを自らの実力で束ね上げ、ユリアは故郷へ帰る手がかりを求める瑞希とともに、帝国の存亡を懸けた大規模な会戦へと身を投じていく。
単なる獣から、軍略を振るう軍隊へと変貌を遂げていく死者たち。そして、瑞希の身に起こり始めた不可解な変化。この世界に語り継がれる「過去の勇者」の伝承が意味するものとは――。
陰謀渦巻く貴族社会の政治劇。万の軍勢が激突する重厚な陣形戦。これは、過酷な世界に降り立った少女が、知略と武力で絶望を覆し、やがて帝国の「希望(シンボル)」へと成り上がっていく、血と硝煙に塗れた戦乱の記録。
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