あらすじ
魔法が使えない——その理由だけで、少年アルトはすべてを否定された。
術式は崩れ、詠唱は乱れ、“音はどこにも届かない”と切り捨てられる。
だが彼には、誰にも理解されない感覚があった。
世界は、音でできている。
風の揺れも、大地の震えも、そして魔物の咆哮すら——すべては“意味を持った音”だった。
城塞都市を襲う、四千の魔物と古竜の咆哮。
騎士も魔導師も為す術なく崩れかける中、アルトだけが気づく。
その咆哮には、“法則”がある。
恐怖ではなく、力でもなく。
彼が選んだのは——応えることだった。
音で返せば、世界は変わる。
やがてその音は、竜に届き、群れに届き、
そして——誰にも止められなかった災厄すら、静止させる。
「届かない」のではなかった。
ただ、誰も聴こうとしなかっただけだ。
これは、世界に否定された少年が、
たった一つの“音”で世界の理を覆し、
やがて空すら鳴らす存在へ至る物語。