あらすじ
携帯もスマホも普及する前の平成時代。
一人一台持つ当たり前の現代から、十数年前のあの頃。
よくある物語では卒業式の日に、主人公が告白をしてハッピーエンドが主流だった。
けれど、主人公もヒロインも居ないなら、そんな展開は起きるはずもなかった。
同じ校区で長い時間を過ごしてきた中学三年生たちは、卒業を目前に控えて突如として「告白ラッシュ」と呼ばれる現象に包まれていく。
十分休憩や昼休み、放課後、空き時間になると誰かが想いを伝え、くっついたり、振られたり――そんな非日常が、いつしか日常になっていった。
しかしそれは、ただの恋愛イベントではなかった。
卒業とともに関係が途切れてしまうかもしれない不安から、「今しかない」と踏み出した者たちの、切実な行動だったのだ。
そんな中、主人公・盛本はその流れに乗ることができず、想いを抱えたまま距離を取ることを選ぶ。
大切だからこそ踏み込めない関係。言葉にしなかった気持ち。
これはキラキラした青春の裏側で、ありふれた少女と少年が送る中学生活最後となる三学期に訪れた、確かに存在していた「モブたち」による等身大の恋と別れの物語。