あらすじ
緩和ケア病棟で、かつて医師として多くの命を救った田口伸雄は、がん患者として最期の時を穏やかに迎えていた。痛みを抑える医療用麻薬の中、遠くを見つめる彼の目は安堵に満ちている。看護師一年目の「私」は、未熟さを痛感しながらも田口先生の言葉に心を動かされる。「きみのその心は、患者の苦しみを和らげる力になる」と語る彼の言葉は、人生の重みを宿していた。連日、かつての同僚や元患者たちが訪れ、田口先生の生き様を讃える中、病室は温かな思い出で満たされる。夕陽が茜色に空を染める午後、田口先生は家族や医療者に見守られ静かに息を引き取る。看護師の「私」は、彼の言葉を胸に、患者に寄り添う道を歩む決意を新たにする。