あらすじ
雨の夜、赤信号を渡った瞬間に死んだはずの「俺」は、目を覚ますと西暦8058年の世界にいた。
家族は微笑んでいる。けれど、その笑顔の“奥”に何かがある。
「今の元号って、何?」そう尋ねても、誰も答えられない。そして代わりに、妹が口にした言葉——
「澪明(れいめい)の142年だよ」
「祈り」が力を持ち、人の心が形を作る時代。届かなかった祈りは《祈骸(きがい)》となり、人に宿り、《残響》という声を響かせる。
目に見えぬ祈りが、世界を静かに壊していた。
妹の祈骸「ミオ」。祈りを管理する女・ナナセ。そして“祈りそのもの”となっていくリク。
――祈りは救いか、それとも呪いか。
誰かを想うことが、世界を滅ぼすことだとしても。それでも「願いたい」と思ってしまうのが、人間だった。
やがて、リクは選ぶ。ひとりの祈骸を救うために、“人間であること”を手放す道を。
その瞬間、世界は静かに再起動する。
澪明——祈りが流れ着く朝。それは、“人がもう一度祈ることを許された”時代の名。
登場人物:
* リク:現代から8058年に流れ着いた青年。死の瞬間の祈りが「世界を再構成」する鍵となる。
* ミオ:リクの妹の祈骸。“祈りの残響”として世界に再び現れる少女。
* ナナセ:祈りを監視する管理局の職員。かつてリクの祈りに触れ、信仰と理性の狭間で揺れる。