あらすじ
人見琥都は幼い頃、貧乏で汚いと周りから避けられ、いつも一人きりだった。
小学校の六年に上がった時、琥都のクラスに坂下善次が転入して来る。善次と琥都は隣の席になった事で親しくなり、学校で多くの時間を共に過ごし、善次の家にもよく訪れていた。
善次は天使のような容貌で、いつも微笑みを絶やさない。困っている人がいれば助け、皆が嫌がる事を引き受け、それでいて嫌な顔一つしない。小学生ながらにして人間が出来すぎていた。家では聖書を読み、その教えを信じて善業を行い続けた。彼は誰が見ても善人だった。
善人であるが故に、利己主義な周囲の人間に利用されることも少なくなかった。
「坂下に頼めば?あいつ絶対断らないから。」
面倒ごとがある度にこういう言葉が口にされた。そして、その言葉通り、彼は何をされても笑って許してしまう。
面倒を押し付けられている善次を見て、苛立つ事もあったが、友達のいない孤独だった琥都は彼の善良な性質に救われていた。
中学生になり、交友関係は開けていった。足永という生徒と親しくなり、放課後、ファミレスに行ったり寄り道したり、ありふれた学生らしい生活を送っていた。
が、中学三年の冬、善次は突然死んでしまう。地に落ちた天使がとうとう天に召された。そう比喩されることもあった。
善次が死んで数ヶ月経った頃、仏壇に手を合わせに琥都は彼の家に訪れる。彼の母からは眠って、そのまま目が覚めなかったと聞かされた。
懐かしさに彼の部屋を見せてもらっていると、本棚から日記を見つける。そこに書かれてあった言葉は生前の彼からは想像つかないものだった。
善次の死は本当に偶然だったのか?琥都は残された彼の言葉を頼りに、彼の死を探っていく。