あらすじ
「この甘い匂いは、血と混ざりたがるんだ」
街角で占いをして小銭を稼ぐ少女、ブランシュ。
男爵家の娘でありながら伯爵家で侍女見習いとして働く彼女は、祖母から受け継いだルーンカード占いで人々の悩みを解決していた。
だが、占いに訪れる客たちの相談から、街に奇妙な異変が起きていることに気づく。
鍛冶屋に届かない材料。
空になり始めた川沿いの倉庫。
突然売れなくなった商人の品。
そして、街に漂い始めた
甘い花のような、不気味な匂い。
それは、この土地の神でさえ警戒する
災厄の前触れだった。
「この甘い匂いは、血と混ざりたがるんだ」
土地神の言葉を聞いたブランシュは、
守るべき少年リュカを連れて決断する。
――この街から逃げよう。
占いと行動で運命に抗い、時には自らの内に眠る力を解き放ち、自由をつかもうとする少女の物語。
小さな占いから始まった出来事は、やがて領都グラスティ全体を巻き込む大きな事件へとつながっていく。