あらすじ
酒、タバコ、パチンコ。
日雇いの派遣仕事で、その日暮らしの生活を続ける一人の男。
通帳の残高は限りなくゼロに近く、未来のことなど考えたこともなかった。
ある朝、コンビニの帰り道。
いつも通り過ぎていた小さな神社に、なぜか足を止める。
鳥居をくぐった瞬間、男は初めての感覚に出会う。
「空気が変わる」
理由はわからない。
神様を信じているわけでもない。
それでも男は、再びその神社を訪れ、少しずつ生活を立て直していく。
副業のバイトを始め、わずかながら金も貯まり始めた頃、
男は思う。
「他の神社も見てみたい」
そうして始まった一人の旅。
最初の目的地は、東国三社の一つ 香取神宮。
賑やかな参道、期待外れの空気、
しかし奥宮の森で感じた「本物」の圧。
続いて訪れた 鹿島神宮では、
まるで武将の陣の中にいるような空気を感じる。
神社とは何なのか。
あの空気は何なのか。
答えのない問いを抱えながら、
男の旅は少しずつ広がっていく。
これは、特別な力を持たない一人の男が、
日本の神社を巡りながら自分の人生を見つめ直していく、
静かな旅の物語。