あらすじ
壊すことしかできなかった男が、
異世界で初めて“直す力”を手に入れた。
整備士見習いとして働きながら、
何度も失敗を繰り返してきた一人の男。
彼はある日、事故によって命を落とす。
次に目を覚ましたとき、彼は異世界にいた。
そこで発動したのは、
人の“スキル”を回路として視認し、修復する力——
《スキル診断システム》。
暴走した剣士の命を救ったその瞬間、
彼は初めて「壊さずに終われた」ことを知る。
だが、この世界では——
スキルは便利な力であると同時に、
暴走すれば人も街も破壊する“危険な欠陥”でもあった。
貧困層は粗悪な改造を施され、歪んだ力に蝕まれ、
都市は見えない崩壊の連鎖に晒されている。
彼は“整備士”として、その歪みに立ち向かう。
詰まりをほどき、流れを繋ぎ、暴走を止める。
それは戦う力ではなく、“直す力”による救済だった。
やがて彼の力は、都市から国家へと広がっていく。
だが帝国の中枢にあったのは、
“完成されすぎた回路”という、より深刻な歪みだった。
すべてを同期させ、統一されたその仕組みは、
わずかな狂いで、国家そのものを崩壊させる。
その中で彼は出会う。
「壊して、作り直せばいい」と語る男——ヴァルド。
そして「壊さずに進化させる」と信じる自分自身。
対立する二つの思想。
世界は壊して再構築すべきか。
それとも、不完全なまま繋ぎ続けるべきか。
やがて歪みは世界規模へと拡大し、
複数の都市で同時に崩壊が始まる。
彼は“原初の回路”へと辿り着く。
それは、この世界そのものを支える設計図だった。
壊れた世界を前にして、彼は選ぶ。
壊すのか。
直すのか。
その手で触れたものすべてが、答えになる。
これは——
壊れた人生をやり直すために、
壊れた世界を“整備”する物語。