あらすじ
――彼女の死を、いちばん醜く語れるのは誰か。
ある朝、河で若い女の死体が見つかった。
死んでいたのは、民俗学を学ぶ大学院生・碓久辺都子。
彼女の死をめぐって向かい合う二人の男。
ひとりは彼女に憧れ、遠くから見つめ続けた。
もうひとりは彼女に頼まれ、“恋人のふり”をしていた。
「お前が都子を殺した。」
互いを糾弾しながら始まるのは、都子の生前を語る醜悪な泥仕合。
学問、家、就職、恋愛、性、執着――
二人の証言が重なるほど、死んだはずの彼女の輪郭は曖昧に溶けていく。
はたして碓久辺都子は、なぜ死んだのか。
そして彼女にとって、二人の男は何者だったのか。
これは『蝸牛考』に取り憑かれた女の死をめぐる、誤読と執着の変格ミステリ。