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父と僕たち家族は、毎朝三つの数字で守られている。 だから榊透は、世界を「距離」で最適化するこの社会を簡単には否定できなかった。 二十四世紀。 宇宙際タイヒミューラー理論(IUT)の工学応用によって、医療も教育も行政も、すべては「近い状態」へ滑らかに移されることで成り立っている。 だが国家更新モデルの検証中、透はその前提を揺るがす異常に遭遇する。 距離が壊れているのだ。三角不等式は破れ、近似列はどこにも収束しない。 その異常を追う中で出会ったのは、原本にしか残らない名前を追い続けるアーカイブ監査員・望月詩織。 制度の上では消えた共同研究者。 記憶の中でも輪郭を失っていく誰か。 その痕跡が、壊れた数式の残差にだけ残っていた。 測れば救えると信じられた未来で、測ってはいけないものがあると知ってしまった二人の、数学と制度と喪失の物語。
母国ではマイナーな《地誌学》を志すルヴィアスは、小さな島国を飛び出し、幼い頃からいつも一緒にいた美少女ネムをお目付け役に、大国アクイレギアへと留学する。巨大都市リグナムバイタでのカレッジで学生生活をするうちに、様々な人と出会い、抱える問題に関わっていく。同じ道を歩んでいた幼馴染の二人がそれぞれ成長していくなかで、否応なく突き付けられるのは別々の道だった。